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道教(Taoism)

 「道教(Taoism)」は中国に固有の宗教で、中国人社会では儒教・仏教と並ぶ三教のひとつに数えられる。
 2世紀頃に始まったこの思想は、不老長生を目指す神仙術と多神的な民間宗教が結合した、現世利益的なもので、老荘思想や仏教を取り入れながら、隋・唐・五代の時期に組織と教理の一応の完成をみた。
 
 道教の基盤は、中国古来の巫術や鬼道の教えにあり(儒学の祖・孔子も、巫祝・鬼道の家の出身と伝承される)、その上に墨家の上帝鬼神思想や、儒家の神道や祭礼哲学、老荘家の「玄」と「真」の形而上学、中国仏教の業報輪廻・解脱・衆生済度の教理などを重層的に取り入れている。
 
 最高神は老子を神格化した「太上老君」だが、この呼称には多数の異称があって一定しない。根本経典は「道蔵5485巻」で、特に宋代の「雲笈七籤(うんきゅうしちせん)」が重要視される。また民間では、「宝巻」と呼ばれる善書(道徳書)を経典とした。
 寺院を「道観(どうかん)」・「観宮(かんぐう)」と呼び、専修者を「道士」と呼ぶ。教団としては「五斗米道」・「太平道」・「全真教(中国金代に創始された道教の一派。不老長生の仙術に始終する旧道教を刷新し、修行を自利・利他に分け、座禅を奨励するなど禅宗の色彩が色濃く加えられた。本山は北京の白雲観。)」などがあり、思想家としては「葛洪」・「陶弘景」・「寇謙之」・「王重陽」らが知られている。
 
 日本でも民間で行なわれる「関帝」・「娘娘・媽祖」・「庚申」の信仰や、「神道」・「天皇」・「神器」の語彙、「陰陽道(おんみょうどう)」や「修験道」・「七福神の福禄寿(寿老人とも。長頭短身鬚髯の老人で、杖に経巻を結び、鶴を伴う。道教では幸福・富貴・長寿を表す南極製の化身とされる。)」なども、道教の影響を受けたものと考えられている。

参照:
 媽祖→【「オトタチバナヒメ」と「媽祖観音」
 庚申→無量院の庚申塔【南加瀬小学校と『阿弥陀堂』】・金剛寺の庚申堂【『本堺』(16)「根古屋」~小机郷108ヶ村の首郷】・
     【鶴見寺尾図の『仏殿地』~大倉山
 神器→【製鉄に関わる人々の記憶(1)大倉山・10時のライン
 陰陽道→【測量マニア(1)陰陽道の方技】・【市をめぐる誇大妄想(20)美努王と信濃】・【同じ顔ぶれ
 修験道→【新羽と日光東照宮】・大豆戸【鶴見川の流路(3)不自然な湾曲
 七福神の福禄寿→【鶴見川の流路(1)金蔵寺】・【住吉神倚像

追記:
 中国の「金」は、満州奥地の森林地帯に興ったツングース系(→粛慎【飛鳥京・石神遺跡~「諸岡五十戸」の木簡】)の女真族・完顔(ワンヤン)部の酋長・阿骨打(アクダ)が、1115年に建てた王朝。
 遼・北宋を滅ぼし、中国東北部・内モンゴル・華北を領有した。都は初め会寧府(現・ハルピン)、のちに燕京(現・北京)、汴京(現・開封)に移った。モンゴルと南宋の攻撃により、1234年に滅亡。
by jmpostjp | 2008-12-13 14:38 | Trackback | Comments(0)


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